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社会的治癒とは、医学的な見地から見れば完治したとはいえなくても、ケガや病気がある程度回復し、社会復帰が可能な状態が一定期間続くことをいいます。
医学的な意味での完治とは異なり、社会保険において被保険者が不利益を被らないようにするための考え方です。
社会的治癒の考え方で最も特徴的なのは、ある程度回復する前の疾病と、再び症状が現れた後の疾病を別のものとして考えることです。
前の傷病と後の傷病名が同一、または何らかの因果関係がなければいけませんが、再発した場合に、前の病気の初診日までさかのぼらなくても、再発して受診した日を初診日として請求できます。
社会的治癒は、特に法律などで決められた定めではなく、被保険者に便宜を図るために用いられる考え方ですから、社会的治癒の期間などが具体的に決められているわけではありません。
実際の申請の場合も、一件ごとに症例について検討し、認定を行います。
しかし一般的には、治癒期間は数年間とされており、社会的治癒での請求が多い精神疾患では、5年程度の治癒期間が求められるケースが少なくありません。
前の病気と後の病気とを分けて考えることのメリットはケースバイケースですが、例えば前の病気のときに年金保険料の滞納などで受給条件を満たしておらず受給できなかった人が、後の病気では受給条件を満たしていて受給が可能となるケース。
このほかにも前の病気の初診日には国民年金に加入していたが、後の病気の初診日は厚生年金に加入しており、受給できる金額が多くなるケースなどが考えられます。
しかし社会的治癒が数年続いていることが最前提となりますから、病院で治療を受けたかったが、治療費がないので通院を中断していたなどの場合は、社会的治癒とは認められません。
社会的治癒として認められるための条件は、次の2つです。
1つ目は、症状が回復して社会復帰やふだん通りの生活が可能であること。
2つ目は、治療や薬の服用が必要なくなり、外見上は治癒している期間が、ある程度継続していたことです。
しかし1つ目の条件については、症状の維持や経過観察的な治療の場合は、差し支えないとされています。
社会的治癒という考え方は、医学領域には存在しません。
医師は同一の疾病が継続しているものとして症状を判断するので、社会治癒前という考え方に賛同しない人もいます。
このような場合は、診断書に書かれる内容が障害年金の請求要件を満たさないことが考えられるので、医師に社会的治癒について説明し、障害年金の受給について理解を得ることが大切です。
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